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November 1, 2018

新しい規制が世界の不動産の透明度を向上させていることは、新しい市場への参入を求める投資家にとっては朗報だ。

机上ではこの展開は有望に見える。
コロンビアから韓国に至る国々が、反マネーロンダリングからサステナビリティ、土地利用計画に至るあらゆる対象について官僚主義を改め、汚職を追放し、法的手続きを改善する政策を導入している。
またカナダではサステナビリティに照準を絞っている。一方タイは不動産税制のアップグレードと土地登記簿のデジタル化に取り組んでおり、マカオはマネーロンダリングを取り締まっている。
こうした努力は、不動産セクターの暗部を暴露したパナマ文書やパラダイス文書漏えい後の投資家や一般市民の懸念の高まりを受けて開始された。英国の実質所有者登記簿法案や、EUの第5次反マネーロンダリング指令は「明らかになった事実」への適切な反応である。
しかし、JLLとラサールが隔年で発行する「グローバル透明度インデックス2018年版」によれば、一部の国で適用が不十分なため、こうした規制の真の利益はより微妙なものとなっている。

適用の差に注意

インデックスの調査対象100カ国中、85カ国で2年前から改善が認められた。
一方でJLL グローバルリサーチ ディレクター ジェレミー・ケリーは「新しい政策の全てが実行されているわけではなく、投資家にとっては隠れた危険が多い結果をもたらしている可能性がある。一部の市場では、規制とその適用に重大な乖離がみられる」と指摘する。
透明度「中」の市場は一般的に規制と適用とのギャップが最大である。インデックスは、ブラジル、アルゼンチン、ケニア、中国、およびギリシャで見過ごせない適用の欠如が認められることを示している。
ケリーは「中国は徴税の一貫性の改善等の一部領域で適用を改善させているが、他の分野についてはより多くの努力が求められる」と考えている。
あらゆる市場において最も適用が遅れているのは、土地登記情報の可用性と品質の確保や土地利用計画規制、ならびに法的手続きの分野である。
ブラジル、アルゼンチン、およびギリシャでは、脱税の手段として不動産売却価格が低く申告され、記録が不正確となっている。
ラサール インベストメント マネジメントグローバルストラテジストのジャック・ゴードンは「透明度の問題の一部は明白な汚職によるものだが、残りは政治的な圧力がかかるまで法律要件は無視されるのが恒例であるといった、『恣意的な適用』に起因している」と語る。
例えば中国の一部の省では、再開発や活性化プロジェクトを巡る計画規制が最近変更されたため、土地用途の予想が難しくなっている。一部の省では税務や土地利用計画が極めて透明かつ「規則通り」に運用されているが、他の省ではそうではない。このような状況はブラジル、メキシコ、米国、カナダ等の連邦制に基づく国々でも多くみられる。地方自治体ごとにゾーニング規制や不動産税の公正な評価制度の構築に対する姿勢が大きく異なるのである。
またケニアでは、規制適用の責任が中央政府から地方の郡政府へと移管されたことで混乱を生んでいる。

圧力の高まり

多くの市場がここ数年間に着実に透明度を向上させているものの、ゴードンは「進歩を続けるためには規制適用に関する問題に取り組まなければならない」と指摘する。
機関投資家が不動産への投資配分を高めるにつれて、各国政府に新規制の導入のみならず、その適用を求める圧力が高まっている。
インドはこの点について印象的な進歩を遂げている。
インド不動産セクターに対するプライベート・エクイティ投資は2014年以降3倍に増加しており、2016年に不動産(規制および開発)法(RERA)が導入されたことで透明度の順位が更に上昇すると期待されている。
JLLインド カントリーヘッド兼CEO ラメシュ・ナイールは「破産に関する政策改正、見せかけの不動産所有の取り締まり、事業の継続を容易にするための一貫した措置等が、買い手や投資家の信頼感やセンチメントを大幅に改善させている」と述べる。
インデックスで透明度「高」グループに区分された11市場には、過去5年間の世界の商業用不動産投資の75%が集中している。
JLL キャピタルマーケット グローバルヘッドリチャード・ブロクサムは「透明度が効率的な市場の運営に不可欠であることは明らかだ」と指摘している。

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