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August 2, 2018

不動産ファイナンスはグリーン化しており、プロジェクトのサスティナビリティに連動した債券が発行されている。

世界中の多くのデベロッパーが、環境面に利益をもたらすプロジェクトの資金調達を行うための債券である「グリーンボンド」に注目し始めている。調達された資金は再生可能エネルギー、エネルギー効率化、クリーン交通機関、そしてグリーンビル等の環境配慮型のプロジェクトに充てることが可能だ。

2017年には総額1,555億米ドルのグリーンボンドが発行された。しかし、昨年6兆米ドルの債券が発行された世界の債券市場の規模からすれば小さな金額に過ぎない。

クライメート・ボンズ・イニシアチブによれば、総調達額の29%はグリーンビル案件の資金として使用された。不動産関連グリーンボンド発行総額は、2016年の190億米ドルから450億米ドルへと2倍以上増加している。最大規模のグリーンボンド発行には米国連邦住宅抵当公庫(ファニーメイ)による2,490万米ドルのグリーンモーゲージ債の発行が含まれ、これは世界的な総発行額の半分以上を占めた。
今年初めには、スワイヤー・プロパティーズが利率3.5%で5億米ドルを調達し、アジアの大手デベロッパーとしていち早くグリーンボンドを発行した。格付機関サステナリティクスによる格付も取得し、香港品質保証局のグリーンファイナンス認証を受けた最初の債券となった。

スワイヤー・プロパティーズ ファイナンス・ディレクターのファニー・ランは「この債券が我々に多くのプラス要因をもたらした。グリーンボンド発行により、様々な投資家がスワイヤー・プロパティーズの他の発行債券にも注目した。5億米ドルの半分以上がグリーン投資の専門家や、グリーンボンド投資ないしより広範なサスティナブル・ファイナンスを強く志向する投資家に配分された。グリーンボンド発行により、大きな無形の利益を得ることができた。香港政府は大企業がグリーンファイナンスを支持することを歓迎しており、他のグリーン・イニシアチブについての対話の起点ともなった」とグリーンボンドを発行したメリットについて説明する。

しかし、財務的な観点からすると、とりわけ低コストで借入れが可能なスワイヤー等のブルーチップ企業にとってグリーンボンドは大幅に割安な債務とはならない。ランによると「『グリーンボンドによる節約』はスワイヤー・プロパティーズにとってあまり重要ではなく、従来の債券発行とグリーンボンドの利回りの差は5ベーシスポイント程度」に過ぎないのだ。

2月には、ナショナル・オーストラリア・バンクが同国初のグリーンモーゲージ債を発行し、低炭素排出ビルに対し1億1,250万豪ドルを調達した。しかし債券価格は同行の「伝統的」モーゲージ債に近く、価格は市場における重要要素ではないことを示唆している。

グリーンビル債を最初に発行した銀行はオーストラリアのANZで、2015年に6億豪ドルを調達し、その40%がグリーンビルを担保とした融資に活用された。

グリーンボンドは不動産ファイナンス環境に重大な影響を与える可能性は将来的にも低いものの、その役割は大きい。JLLアジア太平洋地域 デット・キャピタル担当ヘッド ファーガル・ハリスは「発行体にとっての利益は、割安なファイナンスではなく優れた企業市民とみられることだ。また、グリーンボンドはデベロッパーにとって新たな資本プールを開放することにもなり、これも有利な点である。とりわけ新興市場においては、業界プレイヤーの優れたサスティナビリティ活動が報いられることも重要なため、より多くのグリーンボンドが発行されることを期待している」との見解を示している。

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