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February 20, 2018

2017年は対立の深まる政治情勢が世界市場を動揺させ、過去に例のない1年となった。

しかし最新のデータは、商業用不動産がこの未知の海域でも無事に航行していることを示している。

2017年第3四半期の世界の不動産投資額は前年同期比7%減の1,550億米ドルであったが、依然として過去10年間の第3四半期の平均値を16%上回る堅調ぶりで、年初来投資額も前年同期並みの4,510億米ドルとなった。

不動産投資額はヨーロッパとアジア太平洋地域で増加したものの、アメリカ大陸が3四半期連続で減少したため、地域市場の今後の展開は収斂するのか、それとも分離するのかという議論が生まれている。

結論に達するには時期尚早だが、JLLのプラナヴ・セスラマンは、アメリカ大陸は予想される下降サイクルの端緒を開いている可能性があると考えている。具体的にセスラマンは、「米国市場は2017年中に低迷を脱することができない模様で、3四半期に渡りパフォーマンスが平均を下回ったことは、投資家が一時的に投資を中断しているわけではないことを示唆している。現時点では、北米資本が世界市場に投資されていることにも支えられ、他の地域への波及はみられない。しかし、価格調整なくしてこのトレンドが継続するようであれば、2018年には世界的に投資活動が頭打ちになる可能性がある。とはいうものの、サイクルが進行しているにもかかわらず不動産セクターへのアクセスを求める資本は多く、投資家は活発に新しい投資方法を模索している。政治的・経済的不透明感が改善する兆しが見られない中でも世界の商業用不動産は好調を維持しているため、JLLでは引き続き、通年の投資額は昨年記録された6,500億米ドル並みとなると予想する」と分析している。

地域の概要

アメリカ大陸:第3四半期は米国が同地域の「足かせ」

アメリカ大陸は不動産投資額が前年同期比19%減と、唯一下落した地域となり、第3四半期の投資額が前年同期比23%減の550億米ドル、年初来投資額が同15%減の1,650億ドルとなった米国の不調が影を落としている。地域内の他の市場ではより明るい四半期となり、メキシコとブラジルは共に前年同期比のパフォーマンスが改善。カナダは年初来投資額が前年同期比36%増となり、記録的な150億米ドルに達した。

アジア太平洋地域:シンガポール、香港、インドが同地区の成長を牽引

アジア太平洋地域では不動産に対する需要が継続し、第3四半期の投資額は前年同期比6%増、年初来の投資額は960億米ドルと、昨年の総投資額を11%上回った。シンガポール市場は年明けこそ低迷していたものの、その後反発して四半期投資額の記録を2回更新し、年初来投資額が前年同期比27%増加している。香港では国内投資家の活発な投資により第3四半期の投資額が二桁の増加を達成し、年初来投資額は前年同期比9%増となった。同様に、中国でも国内投資家の活発な投資により年初来投資額が前年同期比10%増となっている。日本の第3四半期投資額は前年を上回らなかったものの年初の取引が好調だったことから、年初来投資額は前年同期比3%増となっている。オーストラリアの年初来投資額は、第3四半期の好調から前年同期比6%増、インドでは超大型取引により投資額の記録を更新した。

欧州・中東・アフリカ諸国(EMEA):ドイツとオランダの市場好調がヨーロッパを下支え

地域内では政治的不透明感が一層高まったにもかかわらず、第3四半期のヨーロッパの不動産投資額は前年同期比3%増となり、年初来投資額は同6%増の1,710億米ドルに達した。ドイツとオランダの市場は共に現サイクルのピークに達しており、年初来投資額が増加している。一方でこの好調はフランス、スウェーデン、およびポーランドの年初来投資額が前年同期比で減少したことに相殺された。英国の四半期および年初来投資額は増加し、EU脱退の国民投票がもたらしたBrexitの不透明感に悩まされた1年から反転している。

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