Share

November 1, 2018

オフィス供給が需要に追いつかない英国では、投資家はロンドン以外に投資機会を求めている

英国の大規模地方都市の多くにおいて今後数年間、オフィススペースの需給ギャップが続くことから、平均を上回る賃料上昇が見込まれている。
英国のEU離脱による潜在的な悪影響を巡る懸念があるにもかかわらず、バーミンガム、ブリストル、エジンバラ、グラスゴー、リーズ、マンチェスターのいわゆる「ビッグ6」を通じて、グレードの高いオフィススペースに対する旺盛な需要をさばききれていないのが現状だ。
JLLの「2018年ホットスポットレポート」によれば、とりわけ、エジンバラ、バーミンガム、マンチェスターの3都市では欧州でも最も高い賃料上昇率が予想されている。
英国の都市は大幅な供給不足に陥っている。
JLL英国 リサーチ ディレクター バリー・デービッドは「テナントは空室が出たら速やかに行動しないとならない。供給不足と旺盛な需要が、ロンドン以外に目を向ける投資家に新たな投資機会を提供している」と説明する。

供給に懸念

供給不足は、新規開発資金の欠如と他セクターとの競合に牽引されている。地域レベルでは、市長直接選挙制がマンチェスターとバーミンガムの意思決定に変化をもたらした。
バーミンガムではデベロッパーであるバリモアと投資家のM&Gリアルエステートによる385,000ft2(35,770m2)の開発が英国の全地方オフィス市場で最大の投機的プロジェクトとなっている。この「スリースノーヒル」とよばれるプロジェクトは2019年6月に竣工予定だ。しかし慎重な姿勢を崩さない銀行からの建設資金融資は限定的で、投機的開発案件は全般的に少数にとどまっている。
英国の大都市に投資機会を求めているのはオフィス投資家だけではない。デービッドは「住宅や学生寮等の他のセクターもこの流れに追随している」と指摘し、観光が好調でホテルセクターが主要プレイヤーとなっているエジンバラを例に挙げる。
一方、市場が最もひっ迫しているのはブリストルだ。グレードAオフィスビルの空室率はわずか0.5%となっている。この両都市はいずれも英国ビッグ6の平均空室率1.7%を下回っており、昨年一年間の賃料上昇率はそれぞれ3.2%と14%を記録した。

政府の影響

ここ数年間、英国地方都市を通じたオフィス賃貸のおもなけん引要素は、政府のポートフォリオ管理となっている。2010年に設立された政府不動産局(Government Property Unit:
GPU)は、ティア3都市からより大きな地方オフィスへとスペースを統合する任務を負っている。
デービッドは「地方税務署等の英国政府のポートフォリオの大幅な統合は好影響をもたらし、ビッグ6市場の稼働率を上昇させた」と指摘する。
GPUは昨年、リーズのウェリントン・キャンパスで、エルメス・インベストメント・マネジメントとカナダ年金制度投資委員会が所有する380,000ft2(35,300m2)のオフィススペースの賃貸契約を締結した。これは、リーズにおいて竣工前の物件の契約としては史上最大となった。
政府は地方レベルでも英国各都市の魅力向上に貢献している。バーミンガムやマンチェスター等における意思決定を迅速化させることで、フレキシブルスペース運営業者であるWeWorkが昨年2カ所目の拠点を開設した。
デービッドは「両都市は、輸送、住宅及び計画について委譲された権限を行使することで地元企業に利益をもたらし、他の企業を誘致している。
マンチェスターは4年連続で入居面積が100万f t 2( 92,900m2)超となっている。これは他の全英国地方都市を上回るペースだ」と指摘する。
一方で中央駅とトラムの大幅改善や、長期的には2025年までに完成予定のHS2高速鉄道等のインフラ開発でバーミンガムがマンチェスターに迫ろうとしており、こうした開発は既に同市のセンチメントに好影響を与えている。

人材を追って

ビッグ6に共通するテーマは、テナントが人材へのアクセスをもたらすスペースを熱望していることであり、投資家はこの点に注目している。 デービッドは「オフィスのストック面ではバーミンガムやマンチェスターよりも小規模な市場であるブリストルは、同市の優秀な学術機関や人材パイプラインを十分に認識しているテナントを誘致している」と述べる。テクノロジー分野の評判が高いことから、同市に拠点を構える50社のマイクロエレクトロニクス及びシリコンデザイン企業にはヒューレット・パッカード、EE、携帯テクノロジー企業のソモが含まれている。また、ロボット工学研究学府であるザ・ブリストル・ロボティクス・ラボラトリーも同市を拠点としている。
好調なテクノロジーセクターは、エジンバラでも需要と賃料上昇の原動力となっている。先日M&Gリアルエステートが取得したスコットランド最大規模の商業用不動産開発用地であるヘイマーケット等の新規開発や、パラボラによるエジンバラパークの新「アーバンクオーター」開発計画など、一層の供給が見込まれる。
JLL オフィス・エージェンシー ディレクター キャメロン・ストットは「新築オフィスの提供を改善できれば、一部の中古オフィスのストックを解放することが可能となり、これらについては既存の用途を保護して新興成長企業の拡張に提供できる」と前向きだ。
また、デービッドは「継続的な新規供給が確認され続けるとしても英国の全6地方都市市場には長期的に大きな賃料上昇余力がある」と考えている。着実な需要を支えているのは、これらの都市自体の経済が好調であるという事実によるものだ。

Share

Never miss an update from The Investor.

Subscribe Now!