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February 20, 2018

Brexitの国民投票という大変動とそれがもたらした不確実性に続き、英国不動産市場の展望に相当な不安を抱きながら2017年を迎えたが、実際には驚きの年となった。

英国の商業用不動産投資額は年末までに約500億ポンドと、2016年を15%超上回る見通しとなり多くの市場関係者を驚かせている。

JLL英国キャピタルマーケットを統括するアリステア・メドウズは「政治的変動と経済的不透明感が続いているにもかかわらずこのように好調なパフォーマンスがみられたことは、英国不動産市場に対する投資家の長期的取組みと信頼感を示している」と述べている。これは特に国内総投資額の約半分、ロンドン投資の80%以上を構成するオフショア投資家に当てはまる。

アジアからの資金流入

今年特にニュースの的となったのは、香港と中国本土の投資家だ。英国市場で最も活発に投資を行い、とりわけロンドンのオフィスセクターでこれが目立った。ランドマークな取引は、香港の食品コングロマリット李錦記による「ウォーキートーキー」ビルの13億ポンドでの買収と、香港上場企業CCランドホールディングスによる「チーズグレーター」の11.5億ポンドでの買収が含まれる。

メドウズは「香港から流入する資本は、分散化を求め香港外への投資を求める民間の家族経営企業の資金と、香港を通じて投資を行う中国本土の資金の組み合わせである。一定の資本管理政策が導入されたことで中国本土からの資本流入は鈍化する可能性が高く、今後投資額は低下する見通しだが、現在のトレンドは継続すると考える」と語る。

今年のもう一つのテーマは、ドイチェ・アセット・マネージメント、ユニオン・インベストメント、デカ・インモビリエン等のドイツ人投資家がロンドンで大規模な投資を継続したことである。メドウズは「過去10年間を通じて、ドイツのファンドは常に最大規模の世界的投資家であり続けてきた。彼らが今年も市場で活発であったことは、とりわけロンドン市場に対する信任投票と言える」と指摘する。

他の国際的投資家についても同様で、シンガポール政府投資公社(GIC)等の政府系ウェルス・ファンドや、カナダ公的年金投資委員会(CPPIB)等の様々なカナダの年金基金が英国資産を追加した。メドウズは「英国投資の資金源は真にグローバル化している」との見解だ。

基本的な魅力

景気の先行きが不透明で、かつBrexit交渉がどのように終結するのかについて不透明感が続く中、なぜこうなったのか。

英国がアジアの投資家の主たる投資先であり続ける理由の一つは、歴史的なつながりとこれがもたらす親近感だろう。その他の要因には、英国の堅い法制度、透明な市場と、Brexit後のポンド安が含まれる。交通とインフラの改善、とりわけ来年のクロスレイル開通も、ロンドンの様々な地域を後押しする。

メドウズは「国内外の投資家は、リタイアメント・コミュニティ、ヘルスケア、学生用住宅やビルド・ツー・レント物件を、付加価値をもたらす投資機会であり持続可能で弾力性のある収入源となり得るセクターとみなしている」と推測する。

ただし投資家のセンチメントと英国の展望に影響を与えているより根本的な牽引要素は、人口構成である。

オルタナティブセクター全体の魅力は、今年の年末までに同セクターが英国の商業用不動産市場のほぼ30%を構成することを意味する。これを率先しているのが学生用住宅だ。

メドウズは「英国には世界的に認められた教育機関がある。これを背景として、学生用住宅に対する旺盛な需要が継続している」と指摘する。

それは今後も続くのか。

来年に向けて、様々な業界のテナント需要と投資家の関心を吟味する。2018年が2017年同様、プラスのサプライズをもたらす年となるのかは、政治・経済的な逆風が全く衰えないことから予想が難しい。

メドウズは「依然として最大の脅威は政治的不透明感だ。確実性や不確実性には、不動産のテナントと投資家の両方に影響を与えるドミノ効果がある。Brexit交渉の展開については、とりわけ英国の建設及びサービス業界に大きな影響を与える移民や熟練労働者を巡って大きな疑問符がついている」と懸念を呈する。

こうしたBrexit後の不透明感から、企業は立地に関する意思決定を先延ばししている。しかし、いつまでもそうしているわけにはいかない。一部の企業は既に、既存の英国業務を外国に移転させる計画を導入している。

メドウズは「2018年に投資額がここから15〜0%増加することは困難だろう。とはいうものの、2017年の不透明感にもかかわらず、グローバルな機関投資家の長期的資本が英国投資を継続したことは良い兆候である」と結論づけた。

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