Share

August 2, 2018

英国では電気自動車需要の急増が、エネルギーやインフラ投資家に新たな投資機会をもたらしている。

既に石油メジャーやプライベート・エクイティ企業が電気自動車(EV)開発業者に投資しており、エクイティ・ファンドもEVの充電に必要な大規模なインフラ網への投資機会を模索し始めている。そして他の投資家もこれに続く公算が高い。

過去12カ月間で最も話題となった取引は、10月の石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルによる欧州最大規模のEV充電網サービス業者ニューモーションの買収である。これはフランスのエンジー(ENGIE)によるオランダを拠点とするEV充電機器メーカーのEV- Boxの買収に続く事例であった。
JLLエネルギー・アンド・インフラストラクチャー・アドバイザリー部門担当 ディレクター ピーター・サーモンは「このセクターは投資の機が熟している。その理由は、二酸化炭素排出量抑制を巡る政府の規制政策に支えられた大量消費市場であることだ。これは同セクターが長期的な高成長市場となることを示唆している」と、今後より多くの取引が行われると予想している。

2030年までに公共EV充電網の整備のみで約5億3,000万英ポンドの投資が必要とされ、自宅や職場での充電も含めれば、英国の高圧送電線網への需要は10GW増加する可能性もある。したがって、充電網以外にも送電線インフラ等のアップグレードに投資が必要とされる。

サーモンは「充電網は長期的収益をもたらすインフラ投資機会を提供する。まだ初期段階であり、リスクはあるものの、今なら投資家は大手ファンドや石油会社、電力会社等が市場を独占する前に市場シェアを確保することが可能だ」と太鼓判を押す。

デベロッパーの夢

また、このセクターは不動産開発業者にとっても付加価値の創造や利回り改善の機会をもたらす。サーモンは「充電網はホテルやリテール等の他のセクターの魅力を増すことにも活用できる」と指摘。例えば、英国の巨大スーパーマーケットであるテスコは、顧客に店内での消費を促すため充電設備を提供しているが、サーモンは「電気自動車セクターは自宅外へと広がる初の大量電力消費市場だ。投資家にとっては住宅セクターから商業用不動産、インダストリアル不動産へと広がる長期的かつ広範なインフラ投資となる」と前向きだ。

障壁を乗り越える

サーモンによれば、「セクターのパフォーマンスを検討する投資家にとっての二つの障害は、EVの価格と『走行距離に関する不安』」であった。しかし、主要自動車メーカーが自社モデルを発表するにつれて価格は下落しており、一回の充電で200マイル(約320キロ)以上走行可能なモデルが増える見通しだ。フォルクスワーゲンが電池の供給元と技術に250億ドルを投資したことは、電気自動車の影響力の大きさを示唆している」という。

同セクターには、とりわけ送電線網の容量や充電規格の互換性について課題が残るものの、こうした課題の多くについて既に措置が取られ始めている。一部のデベロッパーは、送電線網への負荷増加に対応するべく、充電ステーションに電池を併設したり、ステーション内部に電池を設置したりしている。
他の解決策としては、需要を均衡させるため充電ポイントと送電線網の双方から需要を制御する「スマートチャージ」、送電線網に過剰な負荷をかけることなく複数の充電ポイントに均等に充電を行う「ロードバランス」等が挙げられる。

同セクターの未来は総じて明るい。その理由についてサーモンは「我々は、電気自動車の大量採用の始まりを目にしている。コストが下がり、入手がより容易となり、しかも既にディーゼル自動車やガソリン自動車よりも維持費が割安であり、環境により優しいからである」と分析している。

利用者が増加することで大規模で安定した充電網の整備が進められ、充電はガソリンスタンドでの給油並みに簡単になり、支払いは非接触型カードで行われるようになるだろう。利害関係者が認めるようであれば顧客が最適なタイミングで充放電を行って割引を受けたり、現金を受け取ったりするエネルギーのインターネットが創造されるかもしれない。投資家にとってはこのセクターに投資するワクワクするような時代が到来する。

Share

Never miss an update from The Investor.

Subscribe Now!