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August 2, 2018

日本におけるグローバル不動産投資マーケットといえば誰もが「東京」を挙げるが、地方都市へ投資機会を求める投資家が増加しているという。中でも「アジアの玄関口」となる地理的優位性を持つ「福岡」はその代表格だ。

福岡が評価される理由の1つは「職住近接のコンパクトシティ」であるためだ。JLL日本キャピタルマーケット事業部 事業部長 水野明彦は「商業地の天神、博多駅、福岡空港、プロ野球球団のフランチャイズ球場などが中心市街地に集積している。加えて、福岡空港のターミナルビル改修、地下鉄七隈線の延伸工事が計画され、交通利便性が向上する。こうした点は海外投資家に対して大きなアピール材料となっている」と述べる。

また、JLL日本 リサーチ事業部 事業部長 赤城威志は「福岡は中堅国の首都と同水準の経済規模を有しながら、生活の質や住みやすさが世界的に評価されている」と指摘。JLLの調査では福岡市と周辺地域を含めた「福岡」都市圏のGDPは世界150位、人口182位、Forbes2000に名を連ねる企業本社数で103位、航空旅客数87位となった。GDPではスイス最大の都市・チューリッヒ、人口ではUAE最大の都市・ドバイ、航空旅客数はポルトガルの首都・リスボン、カナダの主要都市・バンクーバー等と肩を並べる。また、英国の雑誌「モノクル」が毎年「世界の住みよい都市ランキング」を発表しているが、2016年度版で福岡市が7位になり、世界的にも福岡の魅力は知られている。

日本の不動産、人気の6つの理由

そもそも海外投資家はなぜ日本の不動産に食指を伸ばすのか。水野は「6つの理由」を挙げる。1つは地政学リスクが低い日本の不動産マーケットが有事の際の「セーフヘイブン」と位置づけられている点だ。2つ目は外国人にも土地・建物の所有権が認めている点。3つ目は日本人投資家と同じ平等な税制、4つ目に不動産マーケットの安定度とボラティリティの低さ、5つ目はグローバルで3位、アジア太平洋地域で1位という巨大なマーケット規模。そして6つ目が低金利を背景としたイールドスプレッドの投資妙味。このように不動産投資を促す強力な追い風が存在する。日本マーケットは現在、緩やかに物件価格が上昇している。売主の意思は売却へと傾く一方、安定した高稼働が買主の意思決定を後押しし、取引が成立しやすい環境が維持されているのだ。JLLでは2018年の不動産投資額は前年比5%-10%増加し、4.3兆円-4.5兆円に達すると予測する。

商業、物流が根強い人気

日本の不動産取引マーケットの好調ぶりは、そのまま福岡にも当てはまるが、セクター別にみると福岡の独自性が浮かび上がる。福岡は取引金額に占めるリテールの割合が4割以上となり、15%程度の東京と状況が大きく異なる。物流施設の割合も東京に比べて非常に高いのが特徴だ。

グローバルマーケットへ飛躍

JLLの調査では福岡の商業用不動産の取引額は過去3年間で約3,400億円にのぼる。これはベルギーの首都・ブリュッセル、ポーランドの首都・ワルシャワ等と同程度の取引額となり、日本国内に限定すると三大都市圏の一角・名古屋を凌駕している点は注目に値する。赤城は「福岡のグレードAオフィスの空室率は2%台と相当低く、新規供給も限定的だ。空室率は低下傾向が続き、賃料上昇が顕著になる」と推測。こうした背景から今後も取引量が堅調に増えていくと予想している。地方都市の中でも異彩を放つ福岡。グローバルな不動産投資マーケットとして更なる飛躍を遂げそうだ。

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