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February 20, 2018

キーワードは「オフィス」と「M&A」

2017年の国内不動産投資額は3年ぶりに前年比プラスとなりそうな気配だ。

ドライ・パウダーが増え続ける一方の投資ファンドやプライベート・エクイティにとっては、頃合の変化を確実にモノにしていきたいところだが、折からの価格高騰から思うように外部成長やポートフォリオを分厚くできていない。

今年の不動産市場を勝ち抜く戦略はどこにあるのか。

2017年の市場の特徴を踏まえつつ、2018年はこの流れが継続するか探った。

今年はリートM&A元年?

2017年の市場動向で特筆すべき動きは、プライベート・エクイティ(PE)によるM&Aの動きが印象的だったことだ。シンガポールの「クリサス・リテール・トラスト」と、オーストラリアの「アストロ・ジャパン」は去年夏、相次いでプライベート・エクイティ大手、ブラックストーングループに買収された。いずれも日本国内の物件に特化したREITで、運用会社の買収という形ながら1,730億円近い規模のポートフォリオが市場で売買されたことになり、ポートフォリオの取引としては近年にない大型のものであった。このような「運用会社ごと取得」するという流れは一昨年来続いているものであるが、上場を維持したままのいわば事業継承的な買収だったのに対し、昨年は上場廃止を前提に物件取得を主眼においた買収といった感じが強い。この背景にはマイナス金利などの金融緩和策が奏功しているなかで増え続ける不動産融資を武器に、引き続き高値圏で推移する不動産に対して投資の機会を失ったPEファンドが、NAVディスカウントの大きい日本の現物不動産を保有する海外上場REITを割安とみて買収を仕掛けたことがあるといえる。こうした日本の不動産に投資する海外リートはそう多く残っていないが、J-REITも含めれば話は変わってくる。引き続き不動産価格の上昇が見込まれる中、投資口価格が思うように伸びないJ-REIT市場において一部で魅力的なNAVディスカウントが確認されつつある。こうしたJ-REITがPEファンドのレーダーに捕捉されるケースも考えられなくはない。となれば業界再編も含めた市場活性化が一気に進むことになろう。国内REITは制度等の制約もあり買収によって簡単に上場廃止とはならないとみられるが、今後もファンド勢の動きに注目していきたいところだ。

力強いオフィス市場

一方、今年の注目セクターをひとつあげるとしたら、それはオフィスではないかと考える。今年以降、大型のAグレードビルが続々と竣工し、2020年にかけて数年に一度の「大量供給時代」を迎えようとしている。一部にはこうした大量供給をリスクととらえ二次空室などを懸念する意見もあるが、現時点までで多くの新築ビルですでにテナントが決定している一方で、二次空室はそれほど顕在化していない。これは大型の移転があったビルにおいても、内部増床で決まるケースも多いためで、また業務拡大を続けるIT業界を中心に現状の賃貸床はそのまま維持しつつ、新しいビルに借り増しをするテナントも多く確認されている。このような背景をみても、オフィス賃貸市場は想定以上に力強い動きをみせているといえる。こうした安定した市場環境は当然賃料の安定化にも貢献し、一部で賃料成長の先細りがささやかれる中でも安定した賃料上昇が期待できる局面が今後も続くものと考えられる。その一方で取得のキャップレート(NOI利回り)はここ数年緩やかになりつつある。昨年最も低いキャップレートで取引された都心のBグレードオフィスビルでも3%台前半で、一昨年から10ベーシス程度の減少にとどまっている。価格の高止まり感は引き続きあるものの価格上昇の勢いは徐々にゆるやかになってきていることから、引き続き高稼働かつ賃料の上昇が期待できるオフィスビルはまさに「今が買い時」となると期待される。

2017年の不動産市場は物件価格が高値圏で推移するなか、前年を上回る投資額を記録するなどマーケットの潮目が変わりはじめた兆しを実感した。この流れがさらに加速し、昨年を上回る取引量を記録する2018年となることを期待したいところだ。

(著: JLL日本 内藤 康二)

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