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March 19, 2019

新規供給の9割強がコワーキング・オフィス

東京都心5区におけるフレキシブル・オフィス市場(サービス・オフィスとコワーキング・オフィス)は2018年に床面積ベースで前年比48%増加し、156,000㎡まで急拡大している(図表1)。世界最大手のコワーキング事業者WeWorkは、僅か11カ月間で東京都心5区に8拠点を展開するなど、積極的な姿勢を見せている。また、同社は2017年にソフトバンク株式会社から44億ドル(約4,800億円)の出資を受けたのに続いて、昨年11月に30億ドル(約3,418億円)の追加出資を受けている。
フレキシブル・オフィス市場における新規供給の9割強をコワーキング・オフィスで占められており、コミュニティ重視の共有オフィスが注目されている。大手企業もコワーキング・オフィスを利用しているケースが増えている。
一方、サービス・オフィスの事業者もラウンジや共有スペースを設ける傾向が高まっている。外部のコワーキング事業を買収するサービス・オフィス事業者も存在する。例えば、サービス・オフィスの最大手であるリージャスはSpacesというブランドのコワーキング会社を買収し、2017年4月にはSpaces大手町を開業、また開業日は未定だが、Spac- es Roppongiの出店計画を発表した。
国内不動産大手のデベロッパーである三菱地所は2007年よりコワーキング・オフィス を運営しており、今年2月には中企業向けのサービス・オフィスのブランドである「ザ・プレミアム・フロア」の3拠点目を展開する予定。また、国内大手デベロッパーの三井不動産(ワークスタイリング)、東急不動産(ビジネス・エアポート)、NTT都市開発(LIFORK)もコワーキングとサービス・オフィス事業を拡大している。
さらに、東急電鉄やJR東日本等もサテライト・オフィスを展開しており、テレワークを可能とする柔軟なオフィスを駅構内やその周辺に設置する予定。東急電鉄は既に都内に4カ所の直営サテライト・オフィスを展開しており、JR東は2020年まで新たに30拠点のサテライト・オフィスを展開する見込みである。
働き方改革関連法が2019年4月に施行されるため、柔軟なオフィスに対する需要が一段と増加すると予想されており、東京都心5区のフレキシブル・オフィス市場の発展を後押しすると見られる。JLL
JLL日本 コーポレート営業本部長 佐藤俊朗は「労働時間の短縮を主軸としたこの新法によりオフィスでの業務効率性の向上は待ったなしとなるだろう。一方、オフィス供給がひっ迫する中、フレキシブル・オフィスは生産性向上と優秀な人材獲得のアジャイルで有効な手段となる」と述べる。

WeWork が市場参入

世界最大手のコワーキング・オペレーターであるWeWorkは2018年に日本で運営を開始しており、現時点で累計40,000㎡の貸床面積に拡大している。市場参入以来、そのブランド力の急激な高まりには目を見張るものがある。
WeWorkの平均拠点面積は約5,000㎡であり、フレキシブル・オフィス市場の過去平均の1,000㎡に比べてはるかに大規模である。同社は、コミュニティがより大きいほど、良いネットワーク効果が生じるというコンセプトに基づき、幅広い共有スペースを設けて、各拠点の席数を増加している。
直近では、東京スクエアガーデン(4,000㎡)、また旧三陽青山ビル(5,000㎡)等に拠点を 展開している。既に2019年第1四半期も都 内数カ所での展開が決まっている。
日本の大企業がフレキシブル・オフィスに注目している中、投資家も興味を示し始めている。直近では、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントが運営する私募リート「ジャパン・プライベート・リート投資法人」がWework乃木坂を取得し、また機関投資家であるノルウェー中央銀行が2017年12月に取得した商業ビル「The Iceberg」をWeWorkが1棟借りした。新規供給が限られ、長期的な成長が期待できるフレキシブル・オフィスは、日本の投資家に対して多様な投資機会を提示している。

見通し

東京都心5区のフレキシブル・オフィス市場は、施設利用者の交流を促し、協業やイノベーションの創発を目指すコミュニティ重視のオフィスを中心に成長し、今後も持続的な拡大が継続するものと期待される。特に、世界的なオペレーターのWeWorkの拡大次第で、市場の発展と構造改革が大いに刺激されるものと予想される。JLLは東京都心5区のフレキシブル・オフィス市場が2019年に20%、
2020年には30%増加すると予想する。
(著:JLL日本 中丸 友世)

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