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November 7, 2017

東京の物流市場は、現在、ネット通販企業や運送会社の急速な発展の中で大きな変化を遂げている。ネット通販はここ数年で急速に拡大しており、消費者は迅速な配達により当日もしくは翌日に商品を受け取ることが可能である。しかしネット通販の拡大は、輸送コストの増加という新たな問題に直面している。

このコスト増加の主たる要因のひとつは需給が逼迫する労働市場にある。国内の労働市場は過度な人手不足にあり、失業率は2.8%と低く、求人倍率は歴史的に高い1.51 を記録している。安倍首相が率先する働き方改革における労働時間の削減もトラックドライバーを中心に人手不足に拍車をかけている。

労働需給逼迫が日本のネット通販に与える影響

輸送コスト増加の結果、一部のネット通販企業は当日配送の廃止や、顧客からの注文削減等の対応策を迫られている。その対応策として、他の企業と連携して時間と労力を大幅に削減できる共同配送を実施する企業が増加している。

またネット通販企業の中には、長距離配送に鉄道網を使用してトラック運転手の労働時間削減を試みる企業もある。しかし貨物駅で商品を積み替える必要があるため、輸送コストの更なる増加につながるケースが多く普及には至っていない。自社で運送関連会社を設立しようとする動きもあるが、サービス品質の維持等の課題が多く、実際に関連会社設立に踏み切る企業は限られる。

一方、輸送コストの増加に対して、ネット通販企業は費用を削減するための他の手段を模索している。方法の一つとして倉庫を統合し、より賃料が割安な施設に移転させるなどして施設コストを削減することが考えられる。各配送先に向けて最適な立地の施設に移転することで配送を効率化し、輸送コストの上昇を抑制することも検討されている。

現在、先進的な物流施設が多数開発されており、2018 年には延床面積ベースで220 万平方メートルを超える供給が予定されている。この大型供給はネット通販企業にとっては「渡りに船」の状況と言える。また、空室率が上昇するにつれて、テナントは賃料の値下げ交渉などが可能になる局面も考えられる。労働市場を鑑みると輸送コストの上昇は避けられないが、ネット通販企業は物流施設については多くの選択肢があるようだ。(著:JLL 日本 エドワード・リャン)

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