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November 7, 2017

e コマースブームにより、都市や都市部のロジスティクスに注目が集まっているが、投資機会はどこにあるのか。

欧州のロジスティクスおよびインダストリアル不動産セクターは現在注目の的だ。昨年の同市場への総投資額は史上最高となり、直近のピークとなる2014 年を6% 上回った。

投資家の関心が高まっている分野のひとつに、e コマースの急成長で注目が集まっている、しばしば「ラストワンマイル」と称される都市または都市部のロジスティクスがある。しかし、JLL の英国リサーチディレクター ジョン・スリーマンによれば、投資家はロジスティクスが都市の機能や成長を支える重要な役割をより広く認識するようになっている。都市は各国の経済成長の主たる原動力であることが多い。

欧州の都市人口は現在の73% から2050 年には82% まで増加する見通しで、ロジスティクスサービスとこれに対応したロジスティクス不動産への需要が高まる一方、都市内の土地供給に圧力が生ずる。スリーマンは、「需要の高まりと限定的な供給は賃料上昇と土地価格を下支えするため、この需給力学は投資家にとって非常に魅力的だ。しかし、ロジスティクスサービスを提供しようとする企業や、より持続可能な都市を促進したい都市計画当局にとっては、この需給力学は交通渋滞が悪化する中、いかにして顧客サービスを改善し費用を抑制するかという非常に現実的な課題を突きつける。都市計画当局にとっての問題は、ロジスティクス全体の効率を改善しつつ、大気汚染や騒音等の悪影響を最小化することだ」と説明する。

都市内におけるロジスティクス需要の高まりや土地への圧力上昇、交通渋滞に関連した悪影響(とりわけディーゼル車両)を規制しようとする都市計画当局の増加から、幅広いロジスティクス不動産への需要が高まる。スリーマンは、「ディーゼル車両の規制が増えるにつれ、積荷をディーゼル車両から代替燃料車両に積み替える物流ポイントへの需要が増加する可能性があり、ボルドー等のフランス都市では既に現実のものとなっている」と語る。

同様にスリーマンは、都市がインセンティブや規制により共同利用コンソリデーションセンターの概念を推進するならば、これに対する需要が拡大する可能性があると考えている。こうした施設は既に欧州の都市に多数存在するものの、その数と機能は限定的でしばしば単独のショッピングセンターや一部のシッピングエリアにサービスを提供するに留まっていると指摘している。

ラストワンマイルへの挑戦

e コマースの拡大が続く中、消費者はより短時間で商品を受取ることを期待するようになっており、都市内の施設への需要が更に高まっている。

スリーマンは、「欧州の一部の都市では、アジアの多くの主要都市でみられるようなランプでアクセス可能な多層式倉庫への関心が高まっている。この種の開発に関心が生まれていることは、都市内の工業用地への圧力の高まりを示すもので、地価上昇や低利回りとの組み合わせから、こうした開発が商業的に実現可能となっている」と述べた。

中には既にこうした施設をアピールし始めている開発業者もあり、SEGRO の傘下企業ヴァイログはパリ北部で2 階建てのランプ式建物を市場に投入、一方SEGRO はロンドンでこの種の開発を宣伝している。

将来の計画

ロジスティクスについての検討事項は異なる種類の建物への需要を牽引するだけではなく、都市における土地利用計画や建物の設計に果たす役割が拡大する。

運送の始点と終点にはオフィスから病院まで、あらゆる種類の建物が存在するが、スリーマンによればその多くは積荷の取扱いに十分な設備を備えていない。

スリーマンは「大型オフィスやショッピングセンター等、複数の事業が混在する大規模な建物や建物群は、とりわけ大量の貨物に対応できないことが多い。このため、ロジスティクス物件を超え他の不動産セクターに影響を与えるような、都市部のロジスティクスの改善と悪影響の最小化に向けた動きがみられる可能性が高い」と説明する。

将来に目を転ずると、都市部のロジスティクスの課題に対処し、ラストワンマイルの難問を解決する確率が最も高いのは、新技術や開発中の技術となろう。モノのインターネットやビッグデータを基盤とした「スマートシティ」はその一例だが、これらはいずれも現在都市が提供しているよりもはるかに優れた接続性を必要とする。「サービスとしてのモビリティ」や「サービスとしての倉庫」等のコンセプト、あるいは自動運転自動車も、効率性を改善し、環境への影響を低減できる可能性がある。こうした技術がどのような速度で、どのように発展するのかは依然として不透明なものの、ロジスティクス不動産が都市のロジスティクスの成功に不可欠であり続けることは確実といえよう。

このため、スリーマンは、都市のロジスティクスは不動産開発業者や投資家に大きな機会をもたらしていると考え、「こうした施設への法人テナントからの需要は高まり続け、多くの主要都市で土地供給が限定的であることと合せると、ロジスティクスセクターの価値や総合的な投資パフォーマンスを下支えするだろう」と今後へ期待を寄せる。

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