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November 7, 2017

「ジャストインタイム」ロジスティクスは、小売業者に郊外の物流センターを活用することで都心部の在庫保管施設の縮小と店舗スペース拡大を可能とし、リテール不動産とインダストリアル不動産の関係を変化させた。今はこれをe コマースが変化させようとしている。

JLL の新しいグローバル・レポート「Morethan the last mile」は、e コマースの成長が配送方法の分断化により小売業界を複雑化させ(宅配便や「クリック& コレクト」等)、顧客により速やかに購入商品を配達する競争が激化している様子を検証している。同レポートによれば、顧客は配送の真のコストを支払う意思はない。e コマースにより小売業者には採算性の問題を、商品配達を担当する大手運送業者には財務上の問題に直面していることは驚くに値しない。また、小売業者と運輸業者は共に過熱するオンライン需要に対応するため都心部のスペース拡張を求めている。とりわけ小売業者は、即日配達のため顧客により近い地点に在庫を保管することが必要となっている。

結果としてオーストラリアのインダストリアル・セクターとリテール・セクターの関係が変化し、これが大きな影響をもたらしている。JLL オーストラリアのインダストリアル・ヘッド マイケル・フェントンは、小売業者は物流センター網の活用方法の再考をますます求められるようになっていると説明している。

フェントンは、「従来、倉庫の役割は大量の注文を店舗に移動させることに限られていた。しかし今や、中・小規模の注文を中央の物流ポイントや顧客に直接配送することも求められている。多くの倉庫はこうした多様化に対応できる設備を持たないため、在庫の保管やラックの方法、車両の移動等、異なった対応が必要となる。大型物流センターは都市周辺部に配置し、特定の顧客基盤に応じるより小型の物流センターを都市内に配置するという方向へのシフトがみられるだろう。即日配達には発達した流通網が必要であり、それは結局のところ技術力の問題となる」と述べている。

しかし、小売セクターへの圧力が増している要素は他にもある。都市周辺のインダストリアル不動産の、とりわけ宅地への用途変更である。この影響は、とりわけオーストラリアの大都市で既に明確化している。

フェントンは、「シドニーとメルボルンでこれが特に顕著で、その結果倉庫と顧客の距離が増したためロジスティクス費用が増加した。住宅開発が進むことで交通渋滞が悪化し、配送時間が長くなり、需要に対応するためには新たな輸送網が必要となっている」とコメントしている。

フェントンはこれが理由で都心に近いインダストリアル資産の価値が上昇するものの、顧客への配送時間の縮小は物流会社に大きな魅力となると考えている。

リテールとインダストリアルの相互関係は様々な面で急激に変化しているものの、変化がより緩やかとなる分野もある。これには「ダークストア」、すなわち大手小売業者がe コマース対応のため都心部に配置する物流施設が含まれる。こうした施設には従来型の店舗や目立つブランディングがない。

オーストラリアの大手小売業者は主に人口密度の高い地域で食品配送用にダークストアを展開し始めているが、JLLリテール投資担当ナショナル・ディレクター ジャコブ・スワンによれば、これが従来型の小売店舗を大幅に減少させる可能性は少ないという。

スワンは、「オーストラリアの小売業は米国等と比べると実店舗の人口当たり床面積が大幅に縮小されているため、ダークストアの脅威から十分保護されている」と分析している。

ドローンを使った配達等の新技術も、オーストラリアの航空法規や国土の広さから、緩やかな変化のひとつとなろう。オーストラリアで効果を発揮するためにはドローンは物流センターの1 キロ圏に配備されなければならないが、これは現実味が薄い。ドローンが成功するのはより人口密度が高いく交通量の多いジャカルタやサンパウロといった地域となる可能性が高い。

スワンも「リテールの力学からすれば、ドローン技術の影響が国内外で既に見られる水準を大きく超えることはなかろう。ドローン配送は現時点では一時的な流行とみられているが、将来的には多くの小売業者がその恩恵を受けることになろう」と同意見を持っている。

一方、機械化技術はより近い将来にインダストリアルとリテールの関係を有意義に変化させる要素のひとつとなる可能性が高い。

フェントンは、「小売業者は顧客の要求に応えるべく技術的な対応を行い、多額の投資を行わなければならなかった。その継続によって、インダストリアルとリテールは更に密接に連携することになる。効率的なサービスの提供には、フロントオフィスのシステムとバックオフィスの流通技術のシームレスなコミュニケーションが不可欠だ」と述べた。

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