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November 7, 2017

アジア太平洋地域における製薬業界と食品業界の好調が、ロジスティクス不動産で最も厳しい分野であるコールドチェーンロジスティクス(冷凍・冷蔵倉庫物流) への注目を高め、投資家にあたらしい投資機会を提供している。

特定の温度で生鮮食品の保管と輸送を行うコールドチェーンロジスティクスは、シンガポールや香港等の地域における航空ハブが対応を急いでいるが、複雑で独特な要件がある。

高齢化が需要を牽引

裕福だが高齢化する人口が、ヘルスケア消費を牽引している。

アジア太平洋地域は依然として、多国籍製薬会社の商業的成長に不可欠の要素だ。

インドネシアやフィリピン等の国々が中国に続いて国民皆保険制度導入の準備を整える中、同地域における医薬品売上高は2016 年の3,050 億米ドルから、2017年には5% 増の3,210 億ドルに達すると予想されている。

そうした中、世界中の企業がいち早くこの事業機会に注目している。昨年グローバル運輸・物流会社であるスイスのキューネ• アンド• ナーゲルは、シンガポールで50,000 ㎡のビルド・トゥ・スーツ(BTS)施設を完成させ、その40% 以上がアジアで営業する製薬およびヘルスケア会社を対象とした低温保管設備となっている。

今年4 月には、世界的な不動産機関投資家であるPGIM リアルエステートがシンガポールで1 億9,400 万シンガポールドル(1 億4,000 万米ドル)の低温保存物流施設を取得した。売り手のウェアハウス・ロジスティクス・ネット・アジアは、シンガポールの低温サプライチェーンのリーダーであり、ネット利回り7% 強に相当する賃料で同物件を10 年間リースバックする。これは4% から6% という伝統的なインダストリアル物件の利回りを優に上回っている。

富裕層の需要に応える

JLL キャピタルマーケッツ ディレクター マイルズ・フアンによれば、低温保存の需要を牽引しているのはヘルスケア業界だけではないという。

フアンは、「地域内の所得水準が上昇するにつれ、輸送にコールドチェーンロジスティクスを必要とする魚介類や肉類を含む高級食品への需要が高まっている。成長する中国の中産階級はe コマースや宅配に慣れはじめており、クール便や人口密度が高い地域周辺部の低温倉庫への需要がますます高まっている」と説明している。

中国のコールドチェーン業界のリーダーは香港のロジスティクス業者DCH で、スワイヤー・コールド・チェーン・ロジスティクスも中国国内で7 ヵ所の施設を営業している。

また、需要がシフトしているのはアジアだけではない。従来は国内投資家や所有者による利用がほとんどであったオーストラリアのコールドチェーンロジスティクス市場でも、より多様な投資家が資産取得を争うようになってきている。国内の年金基金からアジアやヨーロッパの投資家までが、このオーストラリアの成長セクターへの投資配分を求めている。

国内外の資本がポートフォリオ分散化と高利回りを追求する中、低温保存セクターが恩恵を受け、早期参入者が利益を得ているのである。

今年5 月には、フレーザース・プロパティー・オーストラリアがシドニーのチュローラの施設についてPFD フード・サービシズと7,000 万豪ドル(5,300 万米ドル)のリース契約を締結し、第1 号となるキーテナントを確保した。この低温保管および食品製造倉庫は、2018 年竣工予定となっている。

フアンは、アジア太平洋地域のコールドチェーンロジスティクス業界は大きな成長余地を残しており、投資対象物件がみつかる可能性は高く、「現在、投資機会はオーストラリアやシンガポール等のより成熟した市場にみられるが、アジアの残りの地域にも発展が広がることは確実だ。そうなれば、とりわけデータが少なく透明度がより低い市場では、現地に詳しい投資家が優れた案件を獲得することになるだろう」と市場の拡大に期待を寄せる。

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