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August 14, 2017

米国の住宅所有率が上昇する中、住宅および賃貸市場全般のファンダメンタルズは依然として健全である。

3月の米国の住宅販売物件数は予想を上回り、過去10年間以上で最高の水準に達している。全米不動産協会は先月、3月の中古住宅販売物件数が571万戸へと季節調整後年率換算4.4%増加し、エコノミスト予想の2.5%を上回ったと発表した。同時に、3月の米国の新築住宅販売物件数も5.8%増加して過去8ヵ月間で最高の値となり、景気の底堅さを示している。

JLLチーフ・エコノミスト ライアン・セベリーノは「住宅販売物件数の反発が集合住宅需要を一部すい上げるリスクはあるものの、影響は限定的である。戸建ての販売物件は集合住宅市場の敵とみなされるべきではない。国民の多くが依然として賃貸市場を選好しているだけではなく、賃貸物件と販売物件は競合するというよりは補完的な関係にある。両方が同時に好調となることが可能である」と述べている。

主な賃借人は年齢20歳から30歳であるのに対して、初めて住宅を購入する層の年齢の中央値は31歳であるとされる。米国市場最大の世代でもあるミレニアル世代のほとんどが現在20代半ばにあり、人口が最も多い年齢は24歳、25歳、26歳である。セベリーノは、「ミレニアル世代のほとんどは今後およそ5年から7年間は住宅を購入しないだろう」とコメントしている。

また、多くの調査結果がミレニアル世代は短期的将来には自宅の所有を希望しているものの、住宅を購入するよりも賃貸する可能性が高いことを示している。学費ローンによる負債の高さと不況による初任給の低さに苦しむミレニアム世代は、結婚や住宅購入といった高額支出を控える傾向があり、結果として賃貸住宅への需要が高まっているのだ。これは仕事に関するモビリティや旅行を促進する付加価値を生んでいる。

米国国勢調査局による最新の住宅空室率や住宅所有率についての四半期データも、賃貸市場と住宅販売市場の好調さを示している。2017年第1四半期の賃貸住宅と販売住宅の空室率はそれぞれ7%と1.7%と、前年同期比横ばいとなっている。2016年第4四半期との比較では、それぞれの比率に「統計的有意性は認められない」のである。事実、賃貸住宅と販売住宅の全般的な空室率は2010年以降下落し続けている。

セベリーノは「集合住宅市場にとってより大きな懸念事項は新規供給である」と述べている。「2016年に供給が予定されていた多数の物件の竣工が、政治的な不透明感もあって2017年に先延ばしされている。今年予定されていた物件が全て竣工したとすると、新規供給物件数は1980年代半ば以降最大となる。空室率の低下はほぼ停滞しており、賃料上昇率が鈍化している。純営業利益率は、今年は引き続き上昇が見込まれているが、供給増には十分注意する必要があろう」と付け加えた。

米国住宅市場が5年前の暴落から回復していることで、価格の過熱を懸念する声も聞かれる。住宅バブル期の住宅価格は2006年に最高水準に達し、2012年にかけての6年間に約27%下落した。

しかし、こうした過去と現在の根本的な違いは融資条件や政策が厳格化されていることである。失業率も2007年5月以来最低の水準となっている。4月の新規失業保険申請件数は30万件を下回り、労働市場の好調を示唆している。

セベリーノは「全体としては、2017年の販売物件数は比較的好調だ。今後数ヵ月間に住宅ローン金利の上昇と収入増や自信回復が綱引き状態となり、住宅販売物件数の水準はその結果次第となるだろう。短期的な混乱はあるかもしれないが、JLLは中期的な住宅販売物件数について慎重に楽観視している」と述べている。

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