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February 14, 2017

英国のEU離脱決定から4ヵ月が経過したが、その間金融市場の緊張や英国、とりわけロンドンの住宅市場の将来を疑問視する傾向などがみられた。

英国のテレサ・メイ首相は正式なEU離脱が2017年3月末までに開始されることを確認し、これを受けて英国ポンドは一部通貨に対して歴史的な安値を記録した。当初の極端なボラティリティの高さからは落ち着いたものの、EUと英国の両サイドが2019年と予想される離脱に向けて大きな交渉の準備を整える中、中期的な展望は依然として不透明だ。この結果ロンドンの住宅に投資した多くのアジア投資家は、売却、保有、買い増しのどれが最善の行動となるのか、考えをめぐらせている。

JLLグローバルキャピタルマーケット リサーチ ディレクター デビッド・グリーンモーガンは、以下のように分析している。

「住宅について投資家が考慮すべき要素の一つに、ロンドンは住宅不足であり、短期的にこれが解消される可能性は低いことが挙げられる。これは世界の主要都市の多くを悩ませる課題であり、ロンドンも例外ではない。英国政府によれば、毎年大きな供給不足が予想され、今後4年間は年間42,000戸の住宅供給が必要となる。この苦境に短期的な解決策はなく、価格の大幅な下落には当然限界がある」

「既存の住宅需要に加えて、ロンドンは今や世界で最も重要なテクノロジーハブの一つとなっており、過去7年間で最大のオフィス賃貸床の新規テナントとなったのはテクノロジー、メディア、通信(TMT)セクターであった。これは仕事のためにロンドンに引っ越す人数が増えていることを意味する。事実、同市の人口は2020年までに100万人近く増加する見通しであり、様々な価格帯の住宅に対する需要が増々高まっている」

「このロンドン固有の力学を生んだ構造問題の他にも、英国資本の長期的状況について考慮が必要な点がある。様々な指標においてロンドンは事業環境、金融セクターの発展、インフラ、人的資源、世界トップレベルの都市としての総合的な風評等についてのランキングで第1位を獲得している。英国の柔軟な金融・財政政策は世界資本を惹きつけ、多数のセクターに経済成長と雇用をもたらしてきた」

「国民投票による不透明感にもかかわらず、英国経済は依然として中期的に欧州の大国やユーロ圏、EUよりも好調となることが予想されている。ユーロ圏の構造改革が進まないことは経済成長の足かせとなり続け、最終的にこれがあらゆる短期的な政治的動揺よりもはるかに大きな問題となろう。政府からのノイズは、11月の財務大臣による秋季財政演説で追加的景気支援策が発表されることを示唆している。英国がEUを離脱しても十分存続可能であることを示せれば、世界資本の流入が続くだろう」

多くのアジア投資家が考慮している点は、英国ポンド安によりまたとない参入チャンスがもたらされる可能性があるということだが、多くのアジア通貨に対して歴史的な英国ポンド安が持続する可能性は低い。シンガポール、香港、シドニー等の他の先進国市場と比較すると、ロンドンの取引や物件保有に関する税制は競争力がある。

「これらは全て、英国に不動産を保有している、あるいは購入を検討している投資家にとって良いニュースだ。しかし、来年EU離脱交渉が開始されたらどのようなシナリオに備えるべきだろうか。2017年4月に交渉が本格化したら激しい議論が交わされ、離脱までに提案されている2年間よりもはるかに長い期間を要する可能性がある。そうなれば、英国ポンド安が進んで英国経済が一層低迷し、インフレ率や金利が押し上げられることも考えられる。EU離脱が『ハードランディング』した場合は、あらゆるセクターにとって短・中期的にマイナスとなる」

「あるいは、交渉開始後に議論が水掛け論となり、明確な勝ち組がない結果となることも考えられる。英国経済は頭打ちとなり、成長率は数年間トレンドを下回り、英国ポンドは世界の競合国通貨に対しアンダーパフォームする。『不透明な』EU離脱が行われれば、国内需要の不足が賃貸セクターを圧迫し、収入が増加しないことが投資家の需要を抑制するため、英国の不動産価格は下落する」

「より楽観的な見方をすれば、EUと英国の両サイドが歩み寄り、交渉が順調に進むことも考えられる。投資や経済活動は短期的には落ち込むだろうが、景気指標はすみやかに改善し、欧州諸国と良好な関係を有する独立した英国への資本流入が早期に回復する。EU離脱が『ソフトランディング』すれば、住宅市場は旺盛な需要と急速な経済成長を受けて改善する」

「しかし、結果はどうなったとしても、英国が欧州及び世界で最も重要な経済であり続けることに変わりはない。各種データや当社の市場ファンダメンタルズの理解によれば、ロンドン不動産を売却するよりも購入・保有するべき理由は依然として多く存在する」

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