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February 14, 2017

インバウンド爆買いブーム後の秘策はあるか

中国人をはじめとする訪日観光客数は右肩上がりを続けているが、その一方で一人当たりが旅行で使う金額は減少が続いているという。これまで多くの買い物客による恩恵を受けてきた東京や大阪などの中心商業地では、いわゆる「インバウンド爆買い後」の戦略をどうするのかに話題の中心が移ってきた感がある。せっかく盛り上がった気運は果たして持続可能なのか、またこうした潮目の変化は不動産の売買市場にどのような影響が出るのだろうか。

銀座に訪れた「変化」と「変調」

東京のみならず日本を代表する高級商店街、銀座。2016年は新しい大規模商業施設がいくつもオープンし、一気に街が変貌した印象である。そうした街の変化に合わせてここ最近高級ブランドの路面店の出店が相次いでおり「さすが銀座、ポテンシャルが違う」という声も聞こえてきそうだ。

ただし、そうした「リニューアル」も爆買いブームが去りつつある前では若干宝の持ち腐れ感がある。統計上は増えているのだろうが、ふと気づけば銀座の街中で日本語以外の会話を聞くこともあまりなくなったというのが現場の肌感覚である。

それでもテナントの出店意欲は引き続き高いのが銀座たるゆえんなのだが、ここ最近賃料上昇のスピードに陰りが見えている。JLLインバウンド爆買いブーム後の秘策はあるか東京・大阪、主要商業エリアの最前線の調査で銀座主要ストリートの1階路面店賃料は推定で月額坪単価275,000円(2016年第3四半期時点)と、この一年の伸び率は1%弱にとどまっている。高級ブランドなどの出店もほぼ一巡しており、今後高額な賃料を伴った新規賃貸借契約に踏み切るテナントは限られると考えられることから、引き続き店舗賃料は低い伸び率で推移するとみられる。

その一方で売買市場は活況だ。首都圏全体を覆う物件供給不足ムードの中、行き場を失った投資マネーがたどり着く先のひとつが、テナントの信用度も抜群な銀座の路面商業ビルだ。2016年は高額取引が一気に増加した年で、大通りから数ブロック入った駐車場にも坪単価1億円を超える価格がつく例もあった。安定しているとはいえ今後の賃料上昇がいまひとつ見通せないなか、いささか行き過ぎた価格での取引がなされているとも考えられる。今後はより冷静な目線での値付け、あるいは取得をすることが求められよう。

大阪は引き続きインバウンド効果があるが・・・

一方、大阪は引き続き外国人観光客に絶大な人気を誇っている。大阪という街が持つ独特な雰囲気とフレンドリーな府民性も相まって、アジアでの人気はうなぎのぼりだ。大阪で最も賃料の高い商店街である心斎橋筋では引き続きドラッグストアの需要が高く、こちらはまだ爆買いの恩恵を受けていると言える。需要の高さから一時は商店街側が出店を規制する動きがあったものの、現状もっとも賃料負担能力がある同業態を無視するわけにいかず、現在も好立地かつ築浅物件を中心にドラッグストアチェーンが競うように出店を希望しており賃料もどんどん高騰しているという。

その一方で国内マーケットを戦略の中心に据える御堂筋などでは賃料は伸び悩んでいる。その一方でいくつかの有名ブランドは自前で一棟もののビルを新築し、竣工と同時に売却してリースバックするという戦略を採用している。こうした取引は賃料の設定もマーケットに沿ったものが多く、かつネット利回りも比較的保守的なことが多いため、銀座のような急激な価格上昇にはいまのところつながってはいない。しかし今後はさらに多くの投資マネーが流入してくることが予想されることから、物件取得競争による価格の高騰には留意する必要があるといえる。

引き続き存在するインバウンド需要に国内での売り上げが上積みできれば、昨今の高騰した不動産取引価格や賃料を正当化できるようになるかもしれない。今後は再び国内市場へと舵を切りつつある各テナントが、いかに持続可能なビジネスモデルを再構築できるかがカギを握ると言えよう。(著:JLL日本 内藤 康二)

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