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August 2, 2018

外資マネーが流入するグローバル投資マーケット・大阪

ミナミが坪5,223万円で最高価格

国土交通省が2018年3月27日に発表した公示地価が大阪の不動産関係者らを驚かせた。それはこれまでJR・私鉄各線のターミナル駅が集中し、オフィスと商業施設の高度集積地・北区梅田を中心とする「キタ」が最高価格を独占していたが、今回初めて心斎橋・難波を中心とする商業施設主体の「ミナミ」が上回ったためである。国内外からの投資マネーがミナミに集中したことがその背景の一つとしてみられる。いまやミナミをはじめとする大阪は世界的に認知された「グローバルマーケット」といえよう。

1970年に公示地価制度が始まって以来、ミナミの地価最高価格がキタを追い越したのは初めてだ。国土交通省によると、2013年時点の公示地価はキタが1坪あたり2,800万円、ミナミが2,000万円と大きな差があったが、2015年頃からミナミの地価上昇率が加速し、2018年には坪4,959万円のキタに対してミナミは坪5,223万円となった。キタの調査地点はオフィスと商業の複合ビル「グランフロント大阪南館」、ミナミは商業ビル「クリサス心斎橋」である。

逆転劇に3つの要因

ミナミが台頭したのは3つの要因が同時期に重なったためと考えられる。1つは世界の不動産マーケットの中でも大阪はイールドスプレッドが高く、すなわち収益性が高い状況が継続している点が挙げられる。イールドスプレッドとは、不動産の利回りと長期金利の差だ。世界主要都市のオフィスのイールドスプレッドは東京285ベーシスポイント、ロンドンは同227、香港が93にとどまる中、大阪は335ベーシスポイントと他の都市を凌駕する。この収益性の高さこそ世界中の投資家が大阪に目を向ける理由だと考えられる。アベノミクスによって超低金利が継続しており、不動産の価格自体は上昇しているものの長期金利との差はまだまだ大きい。

2つ目の要因はインバウンドの急増があげられる。大阪府の調査によると2013年の来阪外客数は263万人だったが、2017年には1,111万人まで拡大した。訪日外国人観光客はこぞってミナミ界隈へ訪れており、心斎橋筋商店街や戎橋周辺は日本語よりも外国語がより多く飛び交っている印象である。海外からの観光客が大阪へ殺到している状況は一般人の間でも大阪の認知度が高いことを示しており、海外投資家にとって出資者を説得しやすく、海外マネーが集まりやすくなっている。

そして3つ目の要因は流動性の高い投資物件がミナミに多数存在している点にある。ミナミには100億円~200億円規模でありながら複雑な権利調整が不要ないわゆる投資適格物件が多く、投資の環境が整っている。また長期保有のみならず流動性が高いので短期保有後に相当のキャピタルゲインを得ることも可能であり、ファンドが描く様々な投資方針に柔軟に対応できる点も評価の一因と考えられる。

ミナミの「顔」は外資がオーナー

JLL日本 関西支社では「キタ・ミナミ・淀屋橋本町・その他」の4エリア別の投資割合を調査した。その結果、2017年は御堂筋沿いの大型物件の取引が相次ぎ、ミナミへの投資が急増していることが判明した。2017年上半期ではミナミへの投資割合は全体の64%、同年下半期でも35%を占める。ミナミでの具体的な商業ビルの取引事例として「中座くいだおれビル」をはじめ「プライムスクエア心斎橋」、「心斎橋プラザビル」、「Gビル御堂筋02」等の名前が上がる。「Gビル御堂筋02」の取引価格は坪1億5000万円とされ、東京・銀座の相場に匹敵し、利回りは3.0%まで低下している。一方「クリサス心斎橋」は2009年に日系商社が開発し、その後シンガポールの上場リート「クリサス・リテール・トラスト」が取得。さらに2017年には米運用会社のブラックストーンが同リートを買収することで新しいオーナーとなっている。ミナミの「顔」が海外投資家の間で取引される状況こそ、大阪がグローバルマーケットとして投資家に認知されている証拠ともいえるのではないだろうか。

国内資本も参入、利回り3%下回る?

大阪の不動産マーケットで今後注目すべきポイントは利回り3.0%の壁を越えられるかどうかだろう。2015年には御堂筋で外資による大型取引が多かったが、2017年から出口を探る動きが本格化した。2018年には2015年当時に取引された投資物件がマーケットに出てくることが予想される。昨年の大型取引は最終的に日本資本が取得することになったが、この流れが継続するのか、または外資を中心とした新しい投資家群が登場するのか、今後の大阪の投資マーケット動向を予測する上で興味深いといえよう。
(著:JLL日本 秋山 祐子)

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