Share

March 19, 2019

日本のホテル業界が2019年に開催されるラグビーW杯への準備を整えている。国内の大都市に多数の観光客が訪れるだけではなく、ラグビーファンや関連団体がこれまで「未踏の地」だった地方都市へ足を伸ばすことが期待されている。

全国12都市で開催

東京、京都、大阪等の大都市が中心的な観光地となっている日本。ここ数年の中国人をはじめ、アジア諸国からの観光客数の急増もこれを後押しした。しかし、2019年9月から11月にかけて国内12都市で開催されるラグビーW杯日本大会が、既に都市部の人気観光地を訪問済みの多くの観光客が地方都市へ目を向けるきっかけとなるだろう。JLL日本 ホテルズ&ホスピタリティ事業部長 沢柳知彦は「開催都市には磁石効果が生じ、観光客により広い地域を訪れることを促す。観光事業がより広範な都市へと広がることは、ホテル開発の増加につながるだろう」と指摘する。
大会会場には東京から鉄道で約2時間30分かかる人口約425,000人の豊田市や、東京都心から車で90分のより小規模な都市である熊谷市、そして日本の南西部九州に国内でも最も印象深い城郭のひとつ熊本城を擁する熊本市等、国際的知名度がそれほど高くない都市も含まれる。
大会の統括責任者アラン・ギルピン氏は「本大会による訪日外国人旅行者数40万人と経済効果2,166億円(19.2億米ドル)が見込まれる」と述べており、地方都市にとって歓迎すべき多大なメリットを享受できそうだ。

観光セクターの成長が加速

一方、日本のホスピタリティ業界は折からの観光ブームを受けて、ラグビーW杯前から成長が続いている。沢柳は「インバウンド観光客の急増は安倍政権が推進する円安誘導政策とアジアからの観光客のビザ要件緩和政策により2013年から始まった」と説明する。
当時、中国人訪日客による「爆買い」が話題になったが、その多くが初来日の団体客だった。しかし、沢柳によると「今や観光客の半分はリピーターであり、東京や京都・大阪は体験済みで何か違ったことを求めている。個人旅行者の数が増え、地方に向かうことが多い」という。
JLLの調査によれば、ラグビーW杯でイングランド対トンガの試合が開催される札幌市では、2018年初来7月までに販売可能な客室1室当たりの売上(RevPAR)が約9%上昇、同じく会場となる福岡市でも同期間中に約5%の上昇が見られた。

欧州ラグビーファンの訪日に期待

ラグビーW杯2019日本大会の魅力のひとつは、ラグビー史上最も激戦が予想されていることだ。従来は一握りの強国が優勝を争ってきたが、来年の大会では優勝候補が6チームにのぼる。自国チームの応援に日本を訪れる外国人旅行者は、ホスピタリティ不動産投資家から、既に旺盛な需要に拍車をかけると見込まれている。
三菱地所投資顧問 事業部専任部長 岩堀亙氏は日本のホスピタリティ業界を2019年の推奨セクターの筆頭に挙げている。2018年に上海で開催されたUrban Land Institute のカンファレンスにおいて、岩堀氏は「日本各地に風光明媚な温泉や優れた郷土料理のある手つかずの市場がある」と言及した。
旅行者数の増加は、日本の観光業界に有益な追い風をもたらすだろう。日本政府観光局(JNTO)の統計によれば、2018年の合計訪日客数は約3,119万人に達しており、前年比で8.7%増加している。
日本を訪れる旅行者の多くは、アジア太平洋地域からの観光客だ。しかし、ラグビーW杯は躍進が予想されるイングランド、ウェールズ、アイルランドといった欧州チームの応援に英国やアイルランド、そしてフランスからも多くの観光客を呼び寄せるだろう。こうした欧州の国々、特にイングランドとフランスはラグビーファンの基盤が最も大きいとされる。
ヨーロッパからの観光客増加は地方都市の訪問に適している。沢柳は「ヨーロッパから日本を訪れる観光客は一回当たりの滞在期間が長いため、支出額がより大きい。このため、ラグビーW杯は国内全域のホスピタリティ業界に好影響を与えるものとなるだろう」と予想している。

Share

Never miss an update from The Investor.

Subscribe Now!