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April 26, 2017

都心部のオフィスはほぼ枯渇状態、商業も賃貸住宅も品薄傾向・・・こんな状況のなか、あふれかえる投資マネーの行先に内外の投資家は頭を悩ませる日々が続いている。そんななか数年前から徐々に脚光を浴び始め、今年改めて注目を浴びたのが物流施設への投資だ。Eコマース市場の拡大などを追い風に続々と新規供給が続く市場へ熱い視線を送る投資家は少なくない。物流施設への投資の魅力とはどのようなものなのか、また今後オフィスなどとともに投資対象としての軸になりうるのか。

もやは“オルタナティブ”な投資先ではない
2016年の国内投資市場をセクター別でみてみると、全体に占めるオフィスビルの割合が47%と半分を割り込んでしまった。過去にも物流系J-REITの新規上場や既存のリテール系J-REITが増資した関係で半数を割り込むことはあったが、今回はオフィスビルの取引件数そのものが大幅に減少していることから「投資適格物件の枯渇化」を証明する結果となっている。代わって台頭してきたのが物流施設への投資だ。昨年一年間のオフィス物件への投資額は前年比27%減を記録するなか、物流施設への投資額は8,400億円を記録。これは実に前年の倍以上の数字だ。これだけの投資マネーを集める物流施設マーケットはすでに「コア」な投資先として認知されてきたと言える。

この人気の背景にはオフィスビルの品薄に加え、物流施設が提供するキャッシュフローの安定性や将来性の高さがあると考えられる。テナントとの契約形態は長期にわたる定期賃貸借契約が主流で、かつ中途解約が認められていない場合が多い。これにより投資家は長期にわたって安定した賃料収入を享受することができ、特にコア投資家へのアピール度は高い。その安定した賃貸借契約を支えるテナントはEコマースやサード・パーティ・ロジスティクス(3PL)業者などである。手軽に注文できて翌日には配達までしてくれるEコマース市場は拡大を続けており、各社とも倉庫スペースを拡大して増え続ける消費者ニーズに対応しようとしている。また3PLはサプライチェーンマネジメントなど効率化された物流ネットワークを顧客に紹介することで業容を拡大するなど、全方位で先進的物流施設へのニーズは増加する一方だ。こうした将来性も投資家をひきつける一つの要因となっている。

プレーヤー参入増加で利回りは低下基調
こうした安定性や将来性を提供できるセクターを投資家は見逃さない。効率的な物流ソリューションが一般的になるにつれて市場での理解も進み、物流施設へ投資しようとするプレーヤーが現在も増加を続けている。ほんの10年前までは極めて限られた投資家がみられたのみだった市場にいまでは投資ファンドやJ-REIT、デベロッパーを含めて50社以上が参入、ひとたびマーケットに優良物流物件が供給されるとたちまち多くの手が競うように挙がる状況である。そうした状況はオフィス市場など他のセクターでも見られたように、価格の高騰、利回りの低下を加速させる。実際最近取引された首都圏の優良物件ではついに4%を下回り、また大阪湾岸地区でも4%台前半の事例が確認されるなど、グレードBオフィスビルの利回りに近づきつつある。投資家の中には利回り低下は好ましい状況ではないとしつつも、安定性はもとより投資規模の大きさにも魅力を感じている。また現在の良好な金利状況を考えると、ある程度の利回り低下に耐えられると判断して取得に動くケースが多くみられる。

人手不足が社会問題化するほどの規模となったEコマースや最先端の物流システムを提供する3PL業者の台頭は、物流マーケットの継続的な安定性とさらなる将来性を強く感じさせる。オフィス、商業に次ぐ「第三極」から、ゆくゆくはオフィスより利回りの低い「コア中のコア」セクターとして君臨する日も将来やってくるかもしれない。(著:JLL日本 内藤 康二)

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