Share

August 2, 2018

訪日客増加でホテル投資も過熱

右肩上がりで増加を続ける訪日外国人観光客。日本政府観光局が発表した2017年の訪日客数は約2,869万人となり、前年比19.3%増。旅行消費額も拡大しており、観光庁の調査では2017年の訪日外国人消費額は総額4兆4,162億円で、年間値としては過去最高を記録した。宿泊料金の構成比は28.2%、前年比1.1%増加し、宿泊需要が好調に推移していることが窺える。

旺盛な宿泊需要を背景に、日本のホテル投資へ興味を示す国内外の投資家はますます増加している。訪日客数の構成比で高い割合を占める中国やタイといったアジア圏の投資家は自国民の多くが日本へ旅行している状況を認識しており、ホテル投資に非常に前向きだ。

価格高騰で取引成立せず

一方、2017年はホテル投資マーケットへの過度な期待感が重荷となり取引件数の減少をもたらすという皮肉な結果を招いた。JLL日本 ホテルズ&ホスピタリティ事業部の独自調査によるとホテルの取引数・取引推定額ともに2016年に比べて減少。特に取引件数は2015年に120件に達する勢いだったが、2016年には63件、2017年は56件となり、前年比11%減となった。取引件数の停滞について、ホテルの新規供給が増加したことでホテルパフォーマンスに停滞感が出始めたことが大きな要因と見ている。2015年まではキャッシュフロー増加率が10%-20%という取引案件は多数存在していたが、東京のホテルの平均稼働率は80%後半-90%前半、大阪は90%前半とされ、これ以上稼働率を高めることが難しい状況にあるにもかかわらず、1泊当たりの宿泊単価が伸び悩み始めたことが影を落としている。急成長からフラットなマーケットへ転じたが、これまでの収益性成長率を期待して売却価格を設定する売主と、フラットになったマーケットを前提として投資を検討する買主の間で利回りに対する期待値のギャップが生まれ、売買目線が大きく乖離してしまったのである。

2018年からマーケットが活性化する理由

投資家、特に売主によるアップサイドの期待感ゆえのマーケットの停滞。しかし、2018年以降は、取引件数は再度増加する可能性が高まっている。東京五輪を出口戦略とする投資家が本格的に売却活動に入ることが予想され、場合によっては売却希望価格が買主の目線に近づくことも考えられる。対して2017年の買い控えにより「金余り」となった不動産ファンドが積極的に投資を再開すると見られており、売主と買主の意識が近づいている。そして、販売用に開発された新規ホテルが一定数存在することもマーケット活性化の追い風となりそうだ。これまでの五輪開催国と同様に、東京五輪後に景気は落ち込むかもしれないが、日本政府の観光立国化策が奏功していることも追い風となる。長期的に見て今後もインバウンドは安定的に増加し、ひいてはホテル投資マーケットへの新規参入者の増加を促すことが予想される。(著:JLL日本 住吉 敬)

Share

Never miss an update from The Investor.

Subscribe Now!