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August 2, 2018

機関投資家の市場に占める割合が高まる中、他の投資家が市場への新たなアクセス手段を求め、世界中で不動産投資信託の人気が高まっている。

REITは投資信託として上場されることから税務上は透明なため、投資家は配当に対してのみ課税される。これにより不動産の直接所有者と同じ取引条件を得ることが可能となる。REITは課税所得のほとんどを株主配当に充てる義務を負っており、その業務、組織、および所有権には一定の規制が課されている。

制度の安全性や参入障壁の低さ、そして直接不動産投資よりも優れた流動性が投資家にとって魅力的な選択肢となっている。

例えばロシアでは不動産市場が2014年から2016年の低迷から立ち直るにつれてREITが関心を集めるようになった。JLLの調査によって市場は2年間の債務再編を経て2017年により多くの海外投資家の注目とエクイティ投資を集めていることが明らかになっている。REITを含む集団投資スキームはマクロ経済が改善するにつれて人気を高めている。JLLロシアおよびCIS リサーチ担当ヘッド オレシア・ジュバは「その人気は銀行の預金金利低下にも支えられている。個人や企業が貯蓄ではなく、より高利回りの投資商品を求めることを奨励しているため」と分析する。

現在、不動産PIF(相互投資ファンド)と呼ばれるロシアのREITは、デベロッパーが税務上効果的に不動産を保有する手段として使用されており、ロシア市場では個人投資家向けのREITは少数にとどまっている。最低投資額が3億ロシアルーブル(480万米ドル)であることも、超高所得層や機関投資家以外には参入障壁となっており、投資単位の流通市場における流動性も限定的だ。

しかし、より多くの銀行がREIT組成を活発化させており、とりわけスベルバンク・アセット・マネジメントとVTBキャピタル・インベストメント・マネジメントが目立っている。ジョバは「REITは通常、資産価格が低迷する危機的な時期の後や、資金調達コストが高騰する時期に人気が高まる。例えば、2010年半ばや2014年の不動産資産価格上昇期に人気が高まった」と指摘。これによってREITはロシア市場で短期的に拡大した。ジョバは「不動産価格の低さがこの商品の一層の発展の刺激剤となり、結果としてリスクが低下して民間投資家にとって透明度が向上する」と述べる。

グローバルなトレンド

世界的に見てもREITは不動産市場で成長中のセグメントであり、コーエン&スティアーズによる推定時価総額は約2.1兆米ドルである。最初のREITは1960年に米国で組成されたが、人気が高まったのは1980年代の「S&L(貯蓄金融機関)危機」後だ。現在35カ国が完全なREIT市場を形成する一方、ロシアや中国等には現地版が存在しており、これらが国際的に認知されるREITに発展することも考えられる。

近年REITが最も成長しているのはアジア地域でシンガポールと日本が最大の市場である。しかし今年はインドで新たな法律施行により第1号のREITが立ち上がる見通しであり、中国も複数の準REIT制度を試行している。

北京大学光華管理学院の昨年のレポートによれば、中国のREIT市場の価値は12兆元(1.8兆米ドル)を超え、世界最大となる可能性もある。

マレーシアも最近REIT制度にいくつかの改正を加えており、同セクターを押し上げることが期待されている。具体的な内容としてはイスラムREITの開発を認める規則が含まれている。

しかし、REITはあらゆる投資家にとって理想的なルートというわけではない。多くの機関投資家は、不動産事業部門ではなくエクイティ部門を通じてREIT投資を行っている。また、REITの長期的リターンは直接不動産投資並みであるにもかかわらず、上場REITは株式市場のボラティリティを伴う。JLLアジア太平洋地域 リサーチ担当ヘッド Dr.ミーガン・ウォルターズは「REITと直接不動産投資にはそれぞれ長所やポートフォリオ内の位置付けが異なる。REITは投資家に流動性の面で多くの利点をもたらすが、不動産の直接投資はより大きな統制能力を与える」と両者の違いについて言及している。

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