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August 2, 2018

欧州のゲートウェイ都市であるロンドンやパリ、フランクフルト、ベルリンは、約5億豪ドルの運用資産を抱えるオーストラリア最大規模の退職年金基金が海外不動産に目を向けることで恩恵を受ける可能性がある。

IFMインベスターズとインダストリー・スーパー・プロパティー・トラスト(ISPT)の合弁事業であるインターナショナル・プロパティー・ファンズ・マネジメントにより、オーストラリアの27の退職年金基金が国内不動産投資主体のポートフォリオをグローバルに分散させようとしている。

オーストラリアの退職年金基金は国民に義務付けられる年金拠出金のほとんどを保有しており、その約10%を不動産に配分している。拠出金の増加と高齢化の進展から、制約のある国内市場で投資適格資産をみつけることはますます困難となっており、投資家は海外に目を向けざるを得なくなっているためだ。

JLLオーストラリア インターナショナル・インベストメンツ担当ヘッド、サイモン・ストーリーは「投資家の関心が海外に向いたのは豪ドル高と多様な資産クラスへのアクセスに牽引されている」と語る。

また、オフショア市場は流動性や多世帯住宅ポートフォリオ等の幅広い資産クラスへの投資機会も提供する。ただストーリーは「国内市場のパフォーマンスも課題の一つ」と付け加えた。

最近のオーストラリア市場で最も大きな2案件であるキークォーターとウィニヤードプレース(いずれもシドニー)にはオーストラリアの年金基金が関与していたものの、新規物件の取得機会は限られている。

IFMインベスターズとISPTインベスターズの合弁事業の他にも、1,300億豪ドルの運用資産と100億豪ドルの不動産資産を所有する基金であるオーストラリアンスーパーが欧州への分散投資の意向を示唆し、フロンティア・アドバイザースの元CEOであるダミアン・モロニーを欧州投資担当ヘッドに迎え、THリアルエステートを欧州大陸におけるオフィスおよびリテール投資のファンド・マネージャーに任命した。

オーストラリアンスーパーは欧州で大規模なリテール、オフィス、および複合施設への投資機会を求めており、エクイティよりもデットへのウェイト付けが高いポートフォリオ構成を志向しているとみられる。

出金と入金

このように海外投資に向けた集団的な取り組みが行われる一方で、海外の機関投資家もグローバル・ポートフォリオをオーストラリアへと拡大している。いまやオーストラリアのハイグレード商業用不動産の3分の1が海外投資家に所有されている。日本のソブリン・ウェルス・ファンドである年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は運用資産2兆豪ドル(約162兆円)を誇る世界最大の公的年金基金であり、初めて不動産投資への参入を示唆している。また、運用資産1兆米ドルのノルウェー政府年金基金も現時点ではわずか2%を不動産に配分しているにすぎず、今後も多くの資本が不動産市場に投入される余地は大きい。ストーリーは「資本は透明度、サスティナビリティ、賃料上昇と国際的な評判の高さが大きな魅力となっているオーストラリアの国際都市を選好するだろう」と予測する。

JLLによる直近のオーストラリアオフィス投資の検証と展望によれば、現在、シドニーのプライムオフィスの利回りは4.63%-5%であり、メルボルンは同4.75%-5.50%となっている。一方、ロンドンのシティにおけるプライムオフィス利回りは約4.25%、パリは同3%。フランクフルトの利回りは3.25%、ベルリンの利回りは2.9%にすぎない。

インターナショナル・プロパティー・ファンズ・マネジメントは2018年第3四半期に正式に設定され、2019年初めに物件取得を開始する見通しである。CEO トニー・マコーマックによると「投資対象は市場内外における収益型コア資産」だという。

IFMインベスターズは有力インフラファンド・マネージャーであり、280を超える投資家基盤と評価額1,050億米ドルのポートフォリオを有する。また、ファンド・マネージャーであるISPTは合計150億豪ドルのオーストラリア資産を運用している。

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