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消費者の期待の変化と市場の統合加速がホテルオーナーと運営会社のマネジメント契約における交渉や執行方法を変化させている。
コーネル・センター・フォー・ホスピタリティー・リサーチによれば、2025年までにミレニアル世代が世界の旅行市場の半分以上を占めるようになる。この世代の旅行者はテクノロジーやサービス、ヘルスケア等の分野に新たな需要をもたらす。
同時に、ホテル市場では先日のマリオットとスターウッド、アコーとマントラ、アコーとFRHI 等のホテルブランドの統合加速が更なる混乱を生みだした。
JLLアジア太平洋地域 ホテルズ&ホスピタリティグループ ダニエル・イップは「マネジメント契約を含むホテル業界のあらゆる面が急速に変化している。マネジメント契約はホテル運営の基盤となるものであり、契約や商業条件は新しい条項や条件を追加して対応しなくてはならない」と語る。
マネジメント契約は実質的にホテルオーナーと運営会社の関係性を定義する最も包括的な文書の1つであり、商業条件から各当事者の権利義務まで幅広い項目が含まれる。
イップは「契約の修正により、オーナーと運営会社の利害をよりよく一致させるべき」との考えを示している。
マネジメント契約をホテル業界の新たな状況に対応させリスクを削減するには、主に以下の3通りの方法が考えられる。

1.業績報酬

ホスピタリティ業界において競争が激化する中、運営会社はマネジメント契約の魅力を増加させるクリエイティブな方法を模索している。過半数のホテルマネジメント契約は、運営会社が営業総利益率向上に応じてより多額の報酬を得るというインセンティブ構造になっている。JLLの最近の調査によれば、これは運営会社にコスト管理と採算性最大化のインセンティブを与える。
ホテルマネジメント契約は、不動産所有者のキャッシュフローに即時的かつ長期的な影響を与え得る。イップは「実際にはオーナーがリスクのほとんどを負担しているものの、理想的な契約はオーナーと運営会社のリターンを最大化させるものだ。一部のプロジェクトでは、運営会社に対して業績に応じた賞罰を与えることで財務リスクの共有が図られている。今やオーナーは収入の確実性をより重視するようになっている。業績に応じたインセンティブ報酬を含めることで、財務リスクを運営会社に移管している」と指摘する。

1.うまくいかないならば、さようなら

時にはオーナーと運営会社の関係がうまくいかず、マネジメント契約の解除が必要となることもある。運営会社が合意の業績基準を満たさない、もしくはホテルが売却された場合にはオーナーは解約権を行使できるようになっている。この変化は業績計測や潜在的な業績未達についての閾値や基準が明らかになるにつれて緩やかに進展するようになった。同様にオーナーが必要とする場合には、売却時に解約を要求する権利も認められる。イップは「ホテルオーナーが売却を選択した場合、早期解約権が含まれていれば資産価値に好影響を与え、買い手の対象が拡大する」と付け加える。
JLLの調査では、オーナーを保護するため今やアジア太平洋地域のマネジメント契約の3分の1以上に売却時解約条項が含まれている。オーストラリアとニュージーランドでは契約の半数以上に当該条項が含まれており、オーストラリアのホテル所有者が出口戦略を検討している可能性を示唆している。
更に、ホテルブランドと解約権行使能力には意義がある。イップは「ラグジュアリーな旗艦ホテルについては、アップスケールやミッドスケールのホテルよりも早期解約権の合意達成の可能性が低いことが明らかになっている」と説明する。

1.ライフスタイルブランドがマネジメント契約を席捲

競合するホテルの新規供給は、あらゆる物件の業績に直接影響する可能性がある。ラグジュアリー及びトロフィーホテルについての新規契約数は約20%減少しており、主要な用地の確保がますます難しくなっていることを示している。各都市で「ホテルは1ブランド1施設に限るべき」という伝統的な見解に市場も同調している。
イップは「世界中で最も人気の高い渡航先には一握りのラグジュアリー及びトロフィーホテルが存在し、運営会社はこうした物件を切望している。しかし、過去3年間に、運営業者に多くの報酬をもたらし得るソフトブランドやライフスタイルブランドの台頭がみられる。こうしたホテルはオーナーの中核的ホテルブランドとは異なるものを提供し、ポートフォリオ分散化に貢献する」と結論付けている。
先日の調査によれば、とりわけ過去3年間にソフトブランドやライフスタイルブランドの契約が増加していることが明らかになった。ソフトブランドはユニークかつ知名度の高いブランドには必ずしもフィットしないため、オーナーはホテルのアイデンティティを確立して運営会社による流通と管理から利益を得ることになる。典型的には、ソフトブランドでは火災・生命・安全性以外のブランド基準は緩められる。同様に、ライフスタイルブランドは宿泊スペース以外の要素を求めるオーナーに、F&Bやコワーキングスペース等の興味深いソリューションを提供する。
ホテルオーナーに選択肢があることは明らかであり、実際のホテルマネジメント契約は業界トレンドに応じて進化している。運営会社は自社を目立たせるため、一層クリエイティブになっており、一部の運営会社は契約内容をオーナーに理解してもらいやすくするため、契約の簡素化すら実施しているのだ。

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