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November 2, 2016

JLLの『スカイライン』によれば、地方都市の市場では空室率の低さ(空室率が最も低い10の市場のうち、9つが地方都市)と、多くの場合新規供給が過去最低レベルにあることから、今後賃料が大幅に伸びる可能性があると分析している。

価格の高騰と供給不足のため主要都市でのオフィスの取得は困難になっているが、地方都市市場のメリットに機関投資家の関心が高まっている。では、この活況の背景にある要素は何だろうか?

雇用の伸び:事業コストの低さ、生活の質の高さ、ならびに従業員の生活費の低さが地方都市への企業の進出または事業拡大を促進している。最も有望視されるのは、ハイテク産業を有し幅広いサービス業の事業機会を提供する都市である。

人口の伸び:現サイクルでは雇用が人口の伸びに追随する形となっており、多くの地方都市では、特にミレニアル世代の人口が大幅に増加している。上位の地方都市は、歩行者にやさしい中心市街地やおしゃれなレストラン、文化的活動や整備された公共交通機関、また自転車で移動しやすいインフラなど、独特の魅力をもっている。

十分な投資余地:多くの投資家は主要都市に比べて地方都市の資産の価格には割安感があり、収益を確保する機会があると考えている。また、単に主要都市には取得可能な物件が少ないということもある。それに対応して、投資家は、価値と成長が見込まれる物件取得のため広くアンテナを張っている。

アトランタとポートランドはアメリカの中でも対角の位置にあるが、共通点が多く投資家やテナントの関心を多く集めている。JLLでは投資家がこの両都市でのオフィス取得を検討すべき理由は3つあると見ている。

アトランタ

オフィス市場のファンダメンタルズは30年以上にわたり強固である。アトランタでは過去4年のネットアブソープションがプラスとなっており、現在でもピーク時の価格を約10%強下回る適度な賃料によってテナントの需要が伸びている。ほとんどの場合、Aクラス物件の賃料は今でも新規の投機的な開発を促すために必要な賃料を少なくとも12~25%下回っている。アトランタにおいて現在建設中の高層ビルの空きスペースは51万平方フィートしかなく、開発物件が限られているなか今後の需給関係と投資の売却価格にとって好条件がそろいつつある。過去にはこれだけの好条件が揃うと、アトランタでは、平均して500万平方フィートから700万平方フィートの新規オフィス開発が行われてきた。

地元および周辺地域の経済は多様性があり成長している。40年間にわたり地域のインバウンドの入居者は拡大する傾向にあり、有名企業が本社を移して来たこともあって、この市場における雇用は増加を続けており、消費者サービス、教育、金融テクノロジーを含むあらゆる分野の産業が存在している。

Bクラスの物件をAクラスの場所で取得する機会がある。取引額は前年比で121.3%増となっており、AクラスのビルとBクラスのビルの間のスプレッドが過去最大となっていることから、最近の取引の多くはバリューアッド型かコアプラス型となっている。全体的に見て、アトランタにおける高層ビル資産の平均価格は1平方フィートあたり248米ドル(坪単価約909,000円)となっており、主要都市に比べバランスがとれている。過去12ヵ月から24ヵ月の間に取引された有名資産であっても、足元価格は再取得価格を大幅に下回る水準まで低下し続けており、既存リースの賃料の伸びは購入時のキャップレートに対して急速かつ好ましい影響をもたらしている。

「オフィス開発は今後もしばらくかなりの規模がおそらく中断したままであり続ける見込みであり、市場環境はオフィスビルの所有者にとって有利な方向へと大きくシフトしている。明らかな勝者は、“生活し、働き、遊ぶ”というダイナミクスを提供できる、または複合用途と交通の便を焦点に適応しリブランドする能力を持つサブマーケットまたは建物である。投資家が現在アトランタにおいて活動しているかどうかにかかわらず、今後数年にわたるオフィス投資環境の見通しは紛れもなく明るいものであり、投資家を引きつけるものとなるはずである。表面しか見ていないと、急速に変貌を遂げつつあるこの市場における重要な機会を見逃すこととなる」と、JLLのキャピタルマーケットチームのマネージング・ディレクターであるデビッド・テナリーは述べている。

ポートランド

ポートランドにはさらに十分な投資余地がある可能性がある。周辺の西海岸の市場の1平方フィートあたりの平均価格は、サンフランシスコとシアトルでそれぞれ677ドル(坪単価約250万円)と458米ドル(同168万円)であるのに対し、ポートランドでは1平方フィートあたり322米ドル(坪単価約118万円)である。ただし、JLLではポートランドの新しいハイウォーター・マークを1平方フィートあたり400米ドル以上(坪単価約147万円)と設定しており、高層ビルの賃料は2010年に比べ24.8%上昇している。だがそれを差し引いたとしても、より活発な取引が行われている市場に比べ割安感がある。

雇用の伸びと人口移入は著しい。企業数は増加しており、ポートランドを本拠地とする企業を買収した大手ハイテク企業は、ポートランドに残ることを決めている。同市の人口は2015年から2020年にかけて5%近い伸びが予想されており、ミレニアル世代の人口は過去5年間で10.6%増加した。

すべてのタイプのオフィス物件に対して投資が行われている。機関投資家が市場に占める割合は増加しており、主に大型の有名資産やコア型資産をターゲットとしている。同時にクリエイティブなオフィススペースが同市のハイテク労働人口のニーズを満たしており、投資家はこれらの建物の位置づけを変えてバリューアッド型にすることを考慮している。

「ポートランドのファンダメンタルズは強固であり、価格や賃料が上昇し始めている。利回りも比較的高いように見受けられ、投資家は他の西海岸の都市に比べてポートランドの市場がさらに伸びると確信している。従来、ポートランドでは取引があまり活発でなく、投資家はそこでいかにしてエクスポージャーを増やすか検討している。さらに、ポートランドはクールなイメージがあり、最終的には、企業も人もポートランドに来たがっている」と、JLLの米州資本市場チームのペイジ・モルガンは分析する。

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