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February 14, 2017

EU離脱決定後、英国の不動産投資情勢は安定化し始めている

一部の投資家が慎重に行動する一方で、他の投資家―とりわけ中国本土と香港の投資家は、これを投資機会と捉えて、セントラルロンドンの不動産資産を取得し、同市の不動産市場を下支えしている。「英国のEU離脱に関する国民投票直後の反応は、『様子見』だった」と、JLLイギリス キャピタルマーケット ヘッドに新たに就任したアリステア・メドウズは述べた。

メドウズは「政治的不透明感と、その英国経済に対する潜在的影響から、国際的投資家のほとんどは傍観者の立場をとった。しかし、ここ1ヵ月で、投資家全体の安心感が高まり、英国投資についてのセンチメントが改善した。英国経済はその弾力性を証明していると言って差し支えなく、EU離脱の手続きやタイミングの明確化も、こうした投資家の信頼感の高まりを支えた。」と現状を分析する。

E U 離脱決定が投資サイクルに影響を与えたことは間違いなく、セントラルロンドンの商業用不動産の取引額は2015年の190億ポンドから2016年には120-130億ポンド程度となると予想されている。

ただし、総投資額は下落しているものの、EU離脱はアジア投資家、とりわけ中国本土と香港の投資家のセントラルロンドン不動産に対する熱意は高いままだ。

「英国ポンド安と収入志向に支えられたアジア資本が過去1年間ロンドンで最も活発であった」と、JLLセントラルロンドン キャピタルマーケット\ ヘッド ジュリアン・サンドバックは述べている。

その不動産資産に対する需要は、過去5年間市場で観測されたトレンドを継続するものである。2006-15年にかけて、中国本土と香港の投資家の取引額は20倍増加しており、取引総額(価格ベース)に占める割合は2006年の1%未満から、今や29%に達している。

中国本土と香港の投資家による投資は2011年以降急増し、2011年の7.6億ポンドから2012年には19.6億ポンドへと倍増している。その後、同投資家による年間投資額が15億ポンド未満となったことはなく、今年は年初来で既に20億ポンドを超えている。

サンドバックは、中国と香港の投資家がロンドンに関心を寄せる要因を以下のように説明している。「EU離脱決定後、市場はド安を活用しようとする投資家の関心を集めている。また、中国や香港の富裕層、更にはソブリン・ウェルス・ファンドが地理的分散化を求めるケースも増加している。これに加えて、外国人投資家による資産所有についての英国の規制は緩和されており、アジアの人口が高齢化するにつれて年金基金に流入する資金が増える中、そうした資金の多くが投資クラスとして不動産に注目している。結果として、中国と香港の資本はセントラルロンドンで最も活発な資本の一つとなっており、主にコアエリアの長期的収益目的のオフィスが投資対象となっている。」

最近の大型取引も市場の安定化や信頼感回復に貢献している。例としてウェストエンドのライダーコート・オフィスビル、ドックランドのダブルツリー・ホテル、香港の投資家キングボード(Kingboard)がロンドン市内のウィーワーク(WeWork)欧州本部を2億7,100万ポンドで買収してロンドン不動産市場に復帰した取引が挙げられる。しかし英国投資を行っているのは中国や香港の投資家のみではなく、シンガポール資本も活動を活発化させている。シンガポール政府投資公社(GIC)とUOL/UICは英国不動産資産を対象とした5億ポンド超の取引に、わずか2週間で合意した。

「こうした取引はAppleが英国本部をバターシー・パワーステーションに構えると発表したことも合せて、はるかに安定したポジティブな環境を生んでいる。これが2016年の残りの期間から2017年にかけて継続する見通しだが、EU離脱決定が英国経済や、延いてはテナントに与える影響は、いまだ確定していない。」とメドウズは語る。メドウズは資本保全、利回り、流動性と透明度を提供するロンドンは、引き続き魅力的であると考えている。

 

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